#018 Sobolonさん


お名前:Sobolon(ソボロン)メンバー

山崎姫菜子さん、和田佑梨香さん

古田理沙さん、安藤真由子さん

(今回の取材撮影は山崎さんと和田さんの2人)

出身 :岐阜県多治見市生まれ

現在 :多治見市在住

取材日:2020年8月26日

今世界中の企業や団体で取り組まれているSDG’s(エスディージーズ)*

*「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。

2030年をゴールに持続可能な未来ある世界を目指していくためにSDG’sが提唱する17の目標があります。

その中に【14:海の豊かさを守ろう】があります。

『可愛いで地球を守ろう』をコンセプトに海洋マイクロプラスティックを使って、アクセサリーを製作販売することで、海の環境問題に対する啓発活動をしている4人組がいます。

4人は中学時代の同級生で同じ部活の仲間。卒業後、何年かの時を経て再び社会貢献としての活動をはじめています。今回はその内のお二人に取材・撮影させていただきました。

かわいいときれいで環境問題を

アトリエはアパートを一室借りているようですが、取材日は灼熱の8月であったため、代表の山崎姫菜子さんのご自宅での取材撮影をなりました。

ここも作業場として集まることもあるようですが、そこにはキラキラとした素敵なアクセサリーと、その横に色別に分けられたプラスティックの欠片があります。プラスティックの欠片は、よく道路の片隅に落ちていそうな劣化してボロボロになったペットボトルの蓋のようなものです。

これからアクセサリーの材料となる素材を、彼女たちは主に知多市の海の浜辺で拾い集め、アクセサリーとして甦らせています。

そもそもこの活動をなぜ始めようと思ったのか。そしてそれを同級生で始めようと思ったのかお伺いしました。

 4人は中学時代の同級生で4人ともブラスバンド部員でした。和田佑梨香さんはブラスバンド部の部長でメンバーのまとめ役。はじめはやる気も自信もなかった他の部員メンバーを自身が部長になってからの1年、試行錯誤して頑張りチームを作っていったようです。そんな中でも4人はいつでも本音でぶつかり合える仲間であったといいます。中学を卒業後はそれぞれの道を進みましたが、卒業後もたまに集まり、お互いの近状報告、悩み事などを話していました。それぞれの環境や社会で揉まれる中、やはり記憶に残っているのは、部活動で味わった達成感と充実感。代表の姫菜子さんの中にも何でもいいから、また皆なで一つのことをやりたいという思いが強くなっていったといいます。そして姫菜子さんが知多に住んでいる友人と話している時、知多の海のゴミ問題について聞き、小学生時代から関心のあった、環境問題をテーマにした何かをはじめたいと考えたとのこと。

「小学生の時、環境問題について話した時、例えばゴミを外で捨ててはいけないよと唱えたをして、それでも捨てている人を見るとその人に嫌悪感を覚え、これをしたらダメだよ!とう事で発信していくと正しいのだけど負のエネルギーとして捉えられてしまい、結果一部の人しか届かず、広がりがないなと感じました。たくさんの方に、この環境問題のテーマを届けるためには負(ネガティブ)の伝え方ではなく、〝かわいい〟〝きれい〟というポジティブに乗せていったら人は耳を傾けてくれるのではないかなと、自分自身の経験から考えました」と姫菜子さんは話します。

思いが種に、そして具現化

まだまだアイデアが漠然としていた中、多治見市で美濃焼タイルを使ってアクセサリーを作っている姫菜子さんの知り合いの方に、思いを語ったところ、そんなに一緒になにかやりたいなら一緒に私たちの手伝いをしてみるという提案を受けて、活動の種ができる事となります。

アクセサリー制作の技術は、姫菜子さんが独学で勉強し、その技術をメンバーに教えるという形で進んでいった。、制作が進むにつれ、デザインは全員で出し合うようになり、作品のクオリティも上がっていきました。

そして、本格的に制作した海洋マイクロプラスティックを使ったこのアクセサリーをPR・販売していくための活動費を集めるため、2019年8月、クラウドファンディングを立ち上げます。たくさんの方のご支援を受け目標金額を上回った支援金が集まりました。その支援金によりECサイトを立ち上げ、多くの方に知っていただくきっかけになったのです。

販売はECだけにとどまらず、各所で行われるイベントにも積極的に出店してきました。出店したイベントの中で特に印象的だったものがあると佑梨香さんは言います。

「長野県で開催されていたクラフトフェアだったのですが、ご来場されるお客様も物つくりが好きであったり、物作りへの想いが強い方が多くて、反応がとても良かったのです。海の環境問題の啓発としてもこの活動をしている事にも応援のお言葉をかけてくださる方もたくさんいました。そこで私達がやっている活動の意味や想いをお客様の言葉を通じて改めて感じる事ができたんです。」

ネット上でのご購入ももちろん嬉しいですが、こういった直接お客様の声が聞ける出店は、また違う喜びもあるとの事。

無価値じゃない。ゴミなんかじゃない。

姫菜子さんは、この活動を始める前は東京に住んでいました。そこで精神的にも肉体的も疲弊してしまい体を壊し地元に戻ってきました。時同じくして、佑梨香さんも体と心がダウンしてしまい、よく姫菜子さんの自宅に行ってはお互い話を聞いてもらっていたそう。

「この活動の前は、本当に引きこもり生活で、人前で話す事なんて考えれれなかったし、こんな風に前向きになれるなんて考えもしなかったです」と姫菜子さんはいいます。しかし、活動を通して、同じように挑戦している仲間との出会いであったり、応援してくれるお客様との出会い、そしてたくさんの方から支援をいただいたり、助言を頂いたり、協力いただいたりする内に、どんどん気持ちが変わっていくのがわかりましたとの事。

佑梨香さんは「この活動は価値観が違う人も受け入れるためにもなっています。いろいろな考えの方を出会うことによって、自分の固定された考えや世界を広げることができますし、自分の未熟な部分を知ることもできる。自分はまだまだ精神的に未熟なところはたくさんあるけれど、この活動を通して成長していけたらと思っています。」と語ります。

店舗名になっている『sobolon』(そぼろん)は造語で、そぼろを組み合わせて考えたとの事。〝そぼろ〟はもともとボロボロとかみすぼらしいという意味ですが、ゴミになるものでも、形が変われば輝くという願いでつけたとの事。資本主義の中で、今は情報にあふれていて新しいもの・画期的なものに価値を見出されがちです。そこに生き辛さを感じる方もみえます。素朴なもの、捨てられるものにも、手を加えれば価値のあるものに変わる。そんな想いもsobolonという名前には込められています。

 社会に揉まれ、一時はボロボロになり壊れてしまった彼女たちが、また新しい環境や出会いで磨かれ生まれ変わっていく。そんな姿はまさしくsobolonの作品達と重なるのではないでしょうか。

磨かれて再生、次のステージへ

Sobolonの活動は、徐々に注目を集め、各メディアでもたくさん取り上げられるようになりました。

(全国版NHK放送・日本テレビNEWS24・中京テレビ・岐阜NHKなど多数・名古屋人間力大賞・グランプリ受賞ほか新聞掲載多数)

はじめは皆で何か楽しいことやりたいと単純な思いだけだったのですが、こうやって注目され応援されていくうちに考え方も変わってきたといいます。活動をはじめて1年たって、今まさに次のステージに移っていく感覚でとの事。今までは、呼ばれたところに出店したり、取材を受けたりしていました。今後は自分たちの主体的に動いて、sobolonの事をもっと知ってもらいたいと考えているとの事。そして自分達が生まれ育った多治見市にも貢献していきたいを言います。今は別の仕事も掛け持ちでしていますが、いずれ店舗を持ちこの活動1本でしていけたらとも考えているよう。環境問題にも、押し付けではなくもっと身近に伝えれるように考えていきたいとの事。Sobolonの売上の一部は地球環境と人々の暮らしを守る活動団体『国際環境NGOグリーンピースジャパン』に寄付されています。https://www.greenpeace.org/japan/

1年後の彼女たちにまたどんな磨きがかかり、どんな姿になっていくのか。コロナ禍で暗くなっていくイメージの中で彼女達のキラキラ輝く瞳に、未来への希望はまだまだ期待できると感じました。

 

*sobolonさんの作品はネットでもご購入いただけます。https://www.sobolon.com/


好きなファッションは?

山崎姫奈子さん→ナチュラル系が好きで、色はアースカラー系が多いかも

和田佑梨香さん→最近はロングスカートにTシャツの組み合わせが多いです。色は黒・白・青が好きですね。


多治見お気に入りスポットは?


お気に入りの理由は?

姫菜子さんの実家の近くで、小・中学生の時、Sobolonメンバーの自宅に帰る分岐点の場所だったんです。

そこで帰りは皆でいろんな事を話したり、替え歌作って歌ったりした楽しい思い出の場所だからです。


多治見の好きなところ・いいところ

田舎すぎず都会すぎないところで、ほどよく自然が感じられるところですね。

名古屋からのアクセスもしやすいので、移動も便利です。川が中央に流れていてその風景も好きです。


多治見がもっとこうなったらいいな

商店街でもシャッターが閉まっているところもあるので、借りたい人がいたら貸してくれると嬉しいです。

自分のお店を持ちたい方が、そういったところに入れるとまた街も活性化していくように思います。


※Special thanks 浴衣着付協力:川合美津子先生(川合美津子きもの学院主宰)

https://mitsuko-kimono.jimdofree.com/

 

取材・ライター

:

山下真美子 (POLA 紗ら)
ヘアメイク・コーディネート 鈴木利奈子(POLA THE BEAUTY多治見住吉店

動画編集・コーディーネート

: 富田由芳(ロージーチークス )

ネイルデザイン

: 小林八智子(ネイルサロン トレゾール 
カメラマン : 勝股聡子
Webサイト制作 : 馬場研二