弁護士と聞くと皆さんはどんなイメージをお持ちになりますか?
法律のプロ!?調停で相手を打ち負かすようなかっこいい姿!?バリキャリ!?
しかし、彼女とお会いすると、まだあどけなさの残るお顔立ち、華奢な体つきにふんわりした服装、穏やかな話口調、昔からイメージしていたテレビに出てくるような弁護士さんとは真逆な印象を受けます。
しかし、実際にお話しすると、弁護士の立場から地域に何ができるかという、地元愛にあふれた熱い想いを心の内にお持ちの方でした。
多治見市で生まれ、現在多治見市で法律事務所を営む彼女が、弁護士という枠を超えて、地元貢献したい事とは?
子供の夢を守るために自分にできる役目とは?
多治見市大日町にある『ききょう法律事務所』にてインタビューしてきました。
生まれは多治見市、高校卒業まで多治見市で過ごされます。
弁護士という職業を具体的に考えるようになったきっかけは、小学生の時、人権に関する本の感想文を書いた時、担任の先生に人権を守る仕事には「弁護士」という仕事がある事を教えてくれたことです。母が火曜サスペンス劇場などで見ていたカッコいい主役が私の弁護士のイメージだったんです(笑)そこから弁護士に憧れ、そこを目指し弁護士になったわけですが、一番の理由は母を守りたかったから。
実を言うと、私の両親はけして仲が良かったわけでなく、母が弁護士さんに相談するにも男性弁護士しかいなかった同市で、相談もしにくかった。そこで女性が相談しやすいのはやはり同性の弁護士ではないかと感じ、自身がそれになろうと思ったのです。
高校卒業後、大阪の大学の法学部に進学します。貴子さんは大学4年生の在学中になんと、司法試験を一発合格されます。
「私、運が良かっただけですよ」と。しかし司法試験合格は狭き門。彼女の弁護士になり母を守りたいという強い想いがあったのだと感じました。
2年間の研修期間を終え、念願の弁護士となります。そしてそれが〝多治見市初の女性弁護士〟となったのです。
10年間の勤務弁護士を経験後、2010年、地元多治見市に「ききょう法律事務所」を開業します。
ききょうは、岐阜県多治見市、土岐市、瑞浪市の市の花で、花言葉には「誠実」「正義」「やさしい愛情」などがあるとのこと。貴子さんが弁護士になろうと決めた時に、女性でもご年配の方でも、なんなら子供さんでも相談しやすい弁護士になりたい、ゆくゆくは街のお気軽に相談できる場所としての法律事務所を作りたいと考えていた一歩を踏み出します。事務所は来年10周年を迎えますが、この花言葉のように誠実・正義・やさしさの信念は変わらず仕事に取り組んでおります。
弁護士さんという立場上、つらい案件や現場に居合わせることも多々あるかと思いますが、弁護士をやっていてよかったと思う事は何ですかという質問を投げかけてみました。
「離婚問題も多くご相談に乗っていますが、両親が離婚しなくてはいけない状況でも、子供と離れる事になった親が、どうしたら安心して子供と会わせる事に相手側がご納得いただけるかを、ひとつづつ不安を紐解いていくのです。そして実際に親に会えた子供の嬉しそうな表情をみた時ですかねぇ」と。
子供たちは自分の育つ環境を選べません。だからこそ、大人が少しでも不安を解消し笑顔でいられることが、子供の笑顔や幸せにつながるのだと考えています。
そのお手伝いをすることが私たち弁護士の仕事だと思います。
私は担任の先生にこの仕事がある事を教えられ、応援、後押しされて今があります。こうやって現実に弁護士になった事で今度は自身が、「あの人がいてくれたから今の自分がある」と言ってもらえる大人を一人でも多く増やすことをビジョンに掲げ、そして、その大きくなった子ども達が、今度は周りの子ども達に同じことを言ってもらえる大人になり、地元でそのような循環の輪、恩送りを繋げていきたいです。
貴子さんは他にも地元で元気な企業さんを増やすことを応援すべく、法律面、また経営面でもバックアップしていらっしゃいます。
さらには、弁護士、行政書士、社労士、税理士と4士業の女性チームで組む『41girls』の一員として活動されていらっしゃいます。色々な角度から女性でも相談しやすい場所を作りたいという想いから結成され、かつて40.9度を記録した灼熱の多治見より熱い熱い想いをもってという意味の〝41〟という事だそう。
開業当時はお一人の弁護士でのスタートでしたが、現在は貴子さんの他にお二人の弁護士さんが所属されていらっしゃいます。社員を増やしたのは仕事量が増えて来たこともありますが、市が行う審議会や地域での委員会などに参加したい思いがあったからです。そういった異業種の方がいらっしゃる会での意見交換は、また別の角度からものを見る事ができますし、自分の視野も広がるとの事。
地元を愛し、地元に何か貢献できないかと活動する貴子さんだからこその方針。
「弁護士事務所って人生の中で行く用事が無いっていうのが一番幸せですよ(笑)。でも生きていく中で少しでも不安がある、生活や仕事などでトラブルを抱えていれば、それが大きくなる前に気軽にいつでも相談していただけたら嬉しいです。」
小柄な彼女から出る言葉は、慎重ながらも力強く、そして優しさを感じました。ご自身も2人のお子さんを持つママ。子供が笑顔になれる未来を作るためには、大人が幸せでいられる事。そんな信念をもった女性弁護士さんがこの街にいる事は、ますます心強い。
暖色系のふんわりした感じの洋服が好きです。パンツスタイルよりスカートが多いですね。
前から駅近くに多治見っぽいお店ができるといいなと思っていたんです。ここはいたる所に地場産業のタイルを使っていますし、器もこだわっていますね。喫茶わにさんの方の窓際のタイル張りのカウンターも好きです。
元は時計店をリノベーションして作られた場所ですが、ところどころその名残があり、昔と今を繋いでいる雰囲気がとても素敵です。
若い方がチャレンジする事をもっと応援する文化であってほしいです。
多治見で働く事と住む事の特典が使えるシステムができるとよいのでは。
コーディネート・取材・ライター |
: |
山下真美子 (POLA 紗ら) |
ヘアメイク | : | 鈴木利奈子(POLA THE BEAUTY多治見住吉店) |
動画撮影編集 |
: | 富田由芳(ロージーチークス ) |
ネイルデザイン |
: | 小林八智子(ネイルサロン トレゾール ) |
カメラマン | : | 勝股聡子 |
ウェブサイト制作 | : | 馬場研二 |