#006 鍋野美千代さん


お名前:鍋野美千代さん

おはなしのかい ぽっぽボランティアスタッフ)

出身:石川県珠洲市出身

現在:多治見市在住

取材日:2019年6月25日

 すべてを包み込むような、やさしい眼差しと笑顔の彼女の活動場所は、市役所本庁舎近くの「子ども情報センター」。

今日もたくさんの小さなお子様連れのママ達がここに集います。

今回のゲストは絵本の読み聞かせのボランティアスタッフとして活動している鍋野美千代さん。

この活動に行き着いたきっかけ、そして彼女が感じている〝絆〟とは? 詳しくインタビューしてきました。

読み聞かせDNA

 生まれは石川県珠洲市。ここで幼少期を過ごします。珠洲市は能登半島の最北端の街。

「私は本を読むのが大好きだったのですが、地元はすっごく田舎だったので、近くに図書館も本屋もありませんでした。」

しかし、自宅には日本昔話全集があり、それを母親が読み聞かせてくれていたと言います。本が大好きであった美千代さんにとって本の内容もすごくワクワクしたそうですが、ほんの少しの時間、母と同じ物語をみている空間に安らぎを覚えたとのこと。

小学生になっても、休憩時間ずっと図書館にいるような子供でした。絵本以外にも、歴史本なども好きでした。

中高と地元 珠洲市で過ごした後、大学から愛知県に移り住みます。そして保育士資格を取得後、幼稚園に就職。

たくさんの子供たちとも接する事になります。

 その後、結婚を期に小牧市から多治見市に移住します。

実は多治見市に移住後、大病をされた美千代さん。

自分の子供の入学式にでられるのかさえも不安だったと言います。しかし快気後、子供に自分が頑張っている背中を見せなきゃ!何かやらなくては!と思っていた時にタイミング良く声をかけられたのが、「子ども情報センター」での読み聞かせのボランティアの活動でした。本を読むことは大好きだし、幼稚園でたくさんの子供にも触れてきた。ボランティア経験もこれまでにある。

しかしここの、〝おはなしのかい ぽっぽ〟が行う読み聞かせは、これまでと違い、とてもあたたかい空間を作っていると感じると言います。


読み聞かせて繋ぐ絆

 「〝読み聞かせ〟 と一言にいっても、ただ絵本の内容をつらつらを伝えるだけではないのです。

お母さんと子ども、おばあちゃんと孫、そんな家族のかけがえのない時間を作るきっかけが読み聞かせで出来たらと考えています。絵本を見て読んでもらった感想を家にも持ち帰ったら、またここでも親子のコミュニティが生まれると思うのです。」

読み聞かせをする前に、一度その絵本を自身で読んでみるとは思いますが、作者さんが伝えたいことを考えながら読んだりするのですか?と言う質問をしてみました。

「絵本の解釈は人それぞれだと思います。私は伝え手であって作者ではないので、その感じ方は個性があっていいと思ってます。それを皆で話し合うのがかえって面白い。あぁこんな考えがあるんだな。こんな反応があるんだなって、私自身も子供たちから教えられる事も多いです。」インタビュー中、一つの絵本の読み聞かせをして頂きました。

読み聞かせ、聴かせ、訊かせ

『夏がきた』という今の季節にはぴったりな作品。彼女の読み聞かせがはじまると、先ほどインタビューでお話していた声とはハッとするくらい変わる。正直、絵本でしょ?と軽く思っていた自分が嘘のように物語に引き込まれてしまいました。自分が子供の頃に体験したようなシーンの絵がいくつか出てきて、頭の中でその情景がどんどん思い出されてくる。蝉の声、冷たい麦茶の氷の音、近くにあった駄菓子屋の安いアイス(笑)が美味しすぎた事。大人が聞いても十分楽しめたし、少しの感動さえ覚えた。読み聞かせって、子供が楽しむだけのものではないんだなぁと思いました。

「この本を読んでいる時間、その一瞬でも同じ気持ちでいる一瞬を大切にしたいと思っています」

子育てに迷っているお母さんお父さんはたくさんいます。答えはでなくても、読み聞かせという体験を通じて、その感情の瞬間でもシンクロするお時間のお手伝いができたら嬉しいですし、こんな情報社会だからこそ、アナログの読み聞かせと言う直に触れ合える時間を大切にしたいなと考えています。

それが少しずつでも親子や家族の絆を生み、すてきな社会や地域になったらなと。大それてますけどね(笑)と美千代さんは笑顔を浮かべます。これまで読み〝聞かせ〟と記載してきましたが、美千代さんの話を聞いていると、本当は読み〝聴かせ〟や〝訊かせ〟という言葉の方がぴったりくる気がしました。

ココロを傾けて聴く、そして読み手が、その物語から感じた事を問うという意味の〝訊く〟。改めて本の持つ力は大きいなと感じた時間でした。

 


好きなファッションは?

流行りに流されず、ずっと着られるようなシンプルで自分に合うものを選びがちですが、どこか「遊びこころ」のあるものが好きです。絵本に関るときはナチュラルな柔らかい感じの服を選びます。

北欧テイストな服が好きなので「角野栄子」さんのようなオシャレで絵本の世界を感じるような雰囲気の服がに合うようなおばあちゃんになりたいです。


多治見お気に入りスポットは?


お気に入りの理由は?

現在この近くに住んでいるのですが、ここに家を持とうと思ったきっかけがこの多治見市を一望できる景色です。

お天気がいいと展望台からアルプスが見える事もあります。

ここは鳥獣保護区にもなっていて、遊具こそ何もないですが、緑が多く子供達が自分で工夫して自然を楽しむことができる事もいいですね。


多治見の好きなところは?

まずあたたかい方がたくさんいらっしゃるところです。

多治見市に引っ越した時、車が1台でしたので主人が使用する時は、車が無かったので子供を連れて歩いて児童館に行こうと自宅を出たら、道に迷ってしまって。

そうしたら、トラックの運転手さんが声をかけてくださって、児童館近くまで送ってくださったんです。はじめは怪しいかなと思ったのですが(笑)

多治見市ではそうやって人に助けてもらう事がすごく多いです。地域活性のために頑張っている方も、そして人と人を繋げていく人もいらっしゃって、とても魅力的な方がたくさんいる街だなと思います。



多治見がもっとこうなったらいいな

地元である石川県珠洲市はお祭りが盛んで、その祭りの伝統を続けていくために、ほぼ地域全員が参加でした。でもそのお祭りには魂が息づいていて、とても情熱的でした。

未来へ受け継がれていくもの血が通うように息づいて、誰しもの心にあるものが、あるといいと思います。

多治見は歴史のあるものがある中で、新しい人やモノなども入り変化もある良さがある所も良い所だと思っています。

だからこそ、その人々を繋ぐことって大切だと思います。

その抽象的なことを伝える例えに、育った街の祭りのお話をしましたが、情熱的というより、誇りのような、当然生きてそこにいる存在のような後世に伝えていく、そんな想いのある街であればもっと文化が受け継がれていくかと思います。

今、多治見には人間力がある方々がいます。

今ある大切なことを、未来にもその心を繋いでいく、そんな仕組みがあれば、今ここにある想いも繋がっていくでしょうか。今「人がいい街」が多治見の良さなら、この人の想いや力を後世にも継いでいく大切さは大きいです。


コーディネート・取材・ライター

:

山下真美子 (POLA 紗ら)
ヘアメイク 鈴木利奈子(POLA THE BEAUTY多治見住吉店

動画撮影編集

: 富田由芳(ロージーチークス )

ネイルデザイン

: 小林八智子(ネイルサロン トレゾール 
カメラマン : 勝股聡子
ウェブサイト制作 : 馬場研二