人間の五感には、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」があるのはご存じの方も多いだろう。
この中で一番人間の本能に伝わるものは何だと思いますか?それは「嗅覚」です。なぜだかわからないが感が働く時、
「何か臭う」と表現するのも、この所以なのだろうか。
皆さんにとって心地よい匂い、懐かしい匂い、逆に不快になる臭い、ざわつく臭い(笑)などありませんか?
ただの香りとあなどってはいけません。香りには身体に及ぼす様々な働きがあるのです。そんな香りに関する深いお話と、アロマセラピストとして20年以上の経験がある素敵なマダムが今回の多治美人ゲストさんです。
ママ同士の関係性に悩んだ時に、ふと行き着いた香りの世界とは?
お客様に様々な変化をもたらしたアロマセラピーの世界とは?
今回は自宅兼サロンでお話を伺ってきました。
閑静な住宅街の一角に大きな和風なご自宅。インターホンを鳴らすと施術用の白いユニフォームで現れた啓子さん。
サロンのある2階のお部屋に案内されます。玄関先からすでに心地よい香りに包まれます。
お部屋の中にはたくさんの専門書が並びます。香りの知識のものだけでなく、皮膚や心に関するものなどなど、精油のボトルもたくさん。
啓子さんは多治見市生まれの多治見市育ち。現在ご自宅にご主人と、ご自分の両親と一緒に暮らしているとの事。
娘さん息子さんを持つ母であり、1歳半になるお孫さんもいらっしゃいます。
子供さんがまだ幼い頃、ママ友さんと合わなくて、少しノイローゼ気味に。これではいけないと思っていた時、新聞の小さな広告に「医療分野で働くアロマスペシャリスト講座」を見つけ、直感的に、あっこれだ!と思ったとの事。下の息子さんがまだ幼稚園の時でしたが、思い切ってその講座を受けに行くことを決意されます。週2回、約半年通います。当時ではめずらしかった精油の化学中心の、香りが人体にもたらす影響に関する知識を学ぶ深い内容の講座でした、その後ナードアロマテラピー協会で精油の化学をさらに深め、アロマセラピストの活動の進んでいた英国のIFA(国際アロマセラピスト連盟)でもっと深くアロマセラピストの勉強をしたいと思い、2年半かけてその資格を取得します。
アロマの精油には1本1本成分分析表がついてきます、その成分分析表をみながら、その方の今の気持ちや体の状態などに合わせて香りを選んでいきます。精油の成分は素晴らしく、私たちをリラックス・リフレッシュして健やかに過ごさせてくれます。そして心や身体、未来や記憶の扉を開けてくれるものでもあり、その精油の役割をたくさんの方に知って頂くためにも勉強し続けています。天然だからこそ安全ではないため、安全に身近なケアができるよう香りを広めていきたいと考えています。
インタビューの途中、特許も取得している『嗅覚反応分析』を、プロジェクトのメンバーが受けてみた。
A~Hの8本のアロマボトルの香りを嗅いで、好きな順に並べていきます。それを見て啓子さんが、専用のアプリで診断します。
嗅覚反応分析されたグラフには、4個の項目があり、その数値によりつなげられた四角形が、正方形に近いとバランスが取れているとなります。グラフによって今の身体と心の状態を視覚化されます。ここでプロジェクトメンバーが異様に飛び出していたのが、自律神経の中の交感神経。
興奮状態にありますので、少しリラックスして副交感神経を働かせた方がいいですとアドバイスする啓子さんに「実は昨日、交感神経が働きっぱなしの出来事があり(何があったのか!?)、あまり寝れなかったんです」とメンバー。すごい!香りの好みがこんな風に出るものなのだと驚きました。
また「とても自立されていらっしゃる方ですね」とも。確かにこれを受けたメンバーは傍から見てもかなり自立している。性格まで診断できるのだ。
更には、この時間帯に何を食べたらいいかなどいろいろなアドバイスまでしていただいて、まさに人間の最も本能に近い嗅覚というものが、自分では気づかなかった体の不調や特徴を知らせてくれる感覚なのだと改めて香りの可能性を感じました。
現在は週3回愛知県の産婦人科に行き、妊婦さんのアロマトリートメントケアをされています。
以前は多治見市内の産婦人科で産後ケアを長年していた事もあります。
妊婦さんのトリートメント中、不安な様子を感じとり病院のスタッフにお伝えしてその後のケアにつながることもあるとのこと
直に肌に触れる事のできるトリートメントは、実は心の解放にもつながっていて、普段閉じ込めていた思いをお聞きする事もできます。それをいろいろなケアへの連携に役立てていけたらと啓子さんはお話されます。
〝皮脳同根〟(ひのうどうこん)という言葉はご存知でしょうか。受精卵から細胞分裂を繰り返しそれぞれの臓器ができる時に、皮膚組織と脳神経細胞は、途中までできていく過程が一緒なのです。そのため皮膚に直接触れるという事は、脳が反応し、心地よいを感じた時、〝オキシトシン〟というホルモンが分泌されます。オキシトシンは精神の安定、幸福を感じるホルモンとして、子供が成長する上でも大切なホルモンです。これがうまく分泌されないと情緒不安定になったりします。嗅覚と皮膚への接触で脳に刺激を与えるアロマトリートメントはオキシトシンホルモンを分泌する(心を安定させる)ための有用的なケアと言えます。
お客様のエピソードとしてお話しをお伺いしました。以前からどうにもならない不調により息苦しさを感じる毎日を過ごしていらしたお客様がみえました。その方に嗅覚反応分析を受けていただき、分析結果から香りのスプレーを作ってお帰りになりました。その後、息苦しさ解放されよく眠れるようになったとご報告をいただき、これからも香りが助けてくれると安心され、今も香りを楽しんで頂いています。
実はインタビューした後日、実際に嗅覚反応分析とアロマトリートメントを受けに行ってみました。
嗅覚反応分析で8本のボトルを好み順に並べて、分析をしてもらいました。「午前中あまり交感神経が働きにくいのでだるさを感じたりしませんか?もしくは朝弱くないですか?」ズバリである。
少し人に合わせすぎてしまうところがあるので、ここでお疲れがでやすいかもですねとも。さっそく私にあわせたブレンドオイルを使ってのトリートメントをしていただきました。背中~脚、お腹、腕、デコルテ、ヘッドまで全身をケアしてもらいすっかり夢心地です。施術後に再度、嗅覚反応分析を行ってみたが、はじめに好んだ香りの感覚がまるで違う事に正直驚きました。ケアはけして力強いトリートメントではありませんが、術後はいつもならとてもむくみやすい足が本当に軽くなり、それが翌日まで続いていました。
啓子さんの手は温かく、精油の香りにともに、心のぬくもりまで伝わってくるようでした。
街には合成の香りもあふれています。化学物質過敏症の方も増えてきて〝香害〟と言われるものもあります。
もともとは人には本物の臭いを嗅ぎわけられる能力があったはずなのに、目や耳での情報が過多になりすぎてこの感覚が失われて来た。自然界には草や木の香り、風の香り、花の香りそんな本物の香りがあふれている。まだ視力がはっきりしない赤ちゃんはお母さんの香りを本能的に嗅ぎ分けて安心を覚えるのだろう。
この時代、化学的な香りに触れずにいられるのは難しいかもしれない。しかし時には自然の香りを感じられるような、ゆったりとした時間を過ごすことが、この慌ただしい現代を生きる人には本当に必要なのだと、啓子さんの施術を受け改めて感じました。
アロマスクールの講師業までしていらっしゃるほどのキャリアをお持ちの啓子さんですが、まだまだ勉強不足ですと言われます。よりお客様の要望に応えられるよう自分も成長していきたいと。
啓子さんの持っていた学習ノートにはこれまでの勉強の痕跡がびっしりと。遠方からわざわざ施術を受けられるお客様もいらっしゃるとの事。お話していて、ありきたりかもしれないが『誠心誠意』という言葉がぴったりくる方だなと思いました。香りに関った仕事に従事している者として「多治見の香り」って作れないかなとも考えていますとお話されました。まだまだ研究は続くようです。
そんな精神でこれからも悩める女性たちのオアシスとして存在して頂きたい。
普段はカジュアルなパンツスタイルが多いです。無地の白や紺色の洋服を素材違いで選んでます。
昔は多治見駅に修道女さんがたくさんいるのを見て、子供ながらにすごく憧れていた。修道服を着たシスター達がとても品があって魅力的に思えたのを覚えています。19号線、修道院が見えてくると多治見に帰ってきたという感じもあって。
修道院は、お花がきれいに咲き誇っていて、シンボルでもある桜の木が咲くと本当にきれいです。修道院の中の礼拝堂は静寂に包まれていて、とても心の落ち着く場所です。
あとは修道院で行われている様々な祭り(ワインフェスタなど)も楽しいですよ。
最近、駅北や商店街などオシャレな感じになってきたのが嬉しいです。美味しい飲食店もたくさんできましたよね。でもやはり多治見市は歴史のある街。お気に入りの修道院はもちろん、永保寺には国宝が2つもあって。
新しいものと歴史あるものが両方存在しているところがいいと思います。
イベント(マルシェなど)を行えるような芝生のある公園がもっとあるといいなと思います。
取材・ライター |
: |
山下真美子 (POLA 紗ら) |
ヘアメイク・コーディネート | : | 鈴木利奈子(POLA THE BEAUTY多治見住吉店) |
動画撮影編集 |
: | 富田由芳(ロージーチークス ) |
ネイルデザイン |
: | 小林八智子(ネイルサロン トレゾール ) |
カメラマン | : | 勝股聡子 |
Webサイト制作 | : | 馬場研二 |