#021 伊藤知子さん


お名前:伊藤知子さん

    チョークアーティスト

出身 :岐阜県多治見市生まれ

現在 :多治見市在住

取材日:2021年3月19日

くったくのない笑顔で取材場所におとずれた彼女。

多治見市で生まれ育ち、結婚後も多治見市で住んでいる生粋の多治見人。現在は男の子と女の子の二児のママ。

取材中もこれまでの彼女の人生の中で興味の矛先が色々なところを通過してきた事がわかり、引き出しだたくさんあって話していて楽しい。

たくさんの興味の矛先の中でも、一番長く続いているのが今回取材の中心となった『チョークアート』

チョークアートは、ヨーロッパからオーストラリアに渡り、商業アートとして発展してきた。最近はオシャレなカフェでのメニュー看板などでよく見かけるようになった。チョークアートがメジャーになるもっと前に、その門をたたき技術を磨いてきたという。

そんなチョークアートの世界に飛び込んだ、地元多治見市をこよなく愛する方が今回の多治美人ゲストさんです。

残る、仕事

高校・大学在学中に漠然と、将来は〝自分が亡くなった後も残るもの〟を作る仕事や活動がしたいと思っていたとの事。

残るものは建築物もそうだと考え、在学中に市役所の土木課にインターンシップで参加したこともあった。

そこに勤めたい希望もあったが、タイミングよく求人が無く、卒業後は医療系システムプログラマーとして就職した。20代の頃は色々な人に会って人脈を広げたいと思っていたとの事。そんな時、東京の書店のクラフトコーナーでチョークアートの本を見てインスピレーションを受けた。何か残すものを作りたい、仕事以外での人脈を作りたい、そんな想いからも、このチョークアートを自分のスキルとして身に着ける事にチャレンジしてみたいと考え、当時、チョークアートの教室がほとんどなかった中、名古屋で教室を開催していることを知り、すぐに申し込んだという。名古屋での教室は専門のスタジオが無く、レストランの一角で習っていた。

チョークアートの魅力は光と影のグラデーションだと思いますと彼女は言う。それによって立体感や躍動感が生まれるとの事。

取材時に画材を持参してもらったので、実際に描いてもらった。

画材はブラックボードに、オイルパステルを使い描いていく。基本的にオイルパステルと自分の指を使って描いていくため、描き終えた時、指先はすごい事になっていると。

目の前で描いてくれたのは、ただの丸。初めは平面の丸だったのが、パステルで色を重ねていき、指先で異なる色をなじませていくと、平面の丸が、立体的に飛び出したように見える。

チョークアート教室で、自分の名前「TOMOKO」のロゴを制作したのが初作品だった。そこから食べもの、動物、人、自然(植物など)建造物などなど様々なものを描いていったとの事。

描き方は習っても、デザインや構想などは独自で学んでいく。本をみたり、自分の中にぱっと思い描いたものを形にしていますと。

Amazing TAJIMI

2008年に独立し、初仕事としてカフェ店の店頭メニューを描き、その後は誕生日や結婚式などの記念ボードの依頼作品を多数手がけている。

実は人の顔を描くのが一番難しく、目の位置によって顔が変わってしまうので、そこは慎重に描くという。

今年(2021年)の2月に多治見市のオリベストリートのギャラリーでは個展を開催。これまでの作品がいくつか展示されていた。アーティストネームはitomorico(イトモリコ)。イトは古語で〝大そう〟とか〝とても〟という意味があり、モリは森のように想いが詰まった子(人)が集まって欲しいと願い付けたという。また彼女の旧姓・森と現在の姓の伊藤とかけあわせた作家ネームにもなっている。

とくに目を惹いたのは、『Amazing TAJIMI』の作品名がつけられたもの。こちらの作品は以前、作家の出身地やゆかりの地を描くグループ展にも展示したものだとか。

多治見市の観光名所の永保寺やモザイクタイルミュージアム、名物のウナギやたじみそ焼きそば、産業である美濃焼やタイルなどが描かれ、まさに生粋の多治見っ子である彼女の作品らしい。

人物を描くことも多い彼女だが、描かれている人の表情は柔らかく優し気。二人のお子さんを持つ母の優しさが作品にもよく出ている気がした。

自分を信頼して作品を依頼してくださる方には、精一杯お答えしたい。作品が家族の思い出を残し、家族の絆が深まるものを作り、ショップでの商業アートでも人の心を惹くものを描けるようにこれからも探究していきたいという。

今後の実現していきたい夢として、カルチャースクールを作りたいという。

自身が若い頃、色々な迷いや不安があった時に、絵を描くことで心が安定した。アートには趣味として手先の技術をあげるという事にとどまらず、何かセラピーとしての要素が十分にあると思っていますとの事。

「先にのべたカルチャースクールは、自分が習ってきたチョークアートだけでなく、様々な年代の方の交流の場になるといいなと考えています。例えばおばあさんが漬物のつけ方を若者達に教えるとか(笑)高齢者の方がもっているちょっとした知識や技術を若い方が教わることで、普段なかなか接点のない年代の方達同士が友達になれ、親に相談できない事を相談できるようになったりする。そういう場所を提供できたらいいな」と。

彼女自身、中学時代なかなか自身が理解されない経験があり、高校に入り、自身の夢に賛同してくれる友人ができ自分の居場所があり心地よいと感じたと言う。カルチャースクールは同じ趣味を持つ人たちが集まる事で、一種、その方の『居場所』を作る事ができる。そんな場所をこの多治見市で開催できたらと夢を語る。

実は彼女の祖父は、50年近く水墨画画家として活動していて、幼い頃からアートに触れてきた。そんな祖父から、色々な事に興味を持ちフラフラしているように映った彼女に、そろそろ一つの事に決めなさいと言われた事もあった。

しかし、今回彼女の取材をしてみて、一つの事を続けるためには、多様な情報や経験が、一つの事をさらに深く極めて行くために必要な事であったかもしれないと考えさせられた。

 

取材撮影が終わった後、彼女から連絡をもらった。

「カルチャースクールというか学食かなぁ。居心地見つけができる場所を提供できる人になりたいです」と。

まだまだ彼女の興味の矛先はいろいろな方向に向きそうだ。それが今後作品にどんな影響があるか、次の作品も早く観たいと期待する。


好きなファッションは?

黄色やオレンジなどわりと明るい色合いの洋服が好きです。


多治見お気に入りスポットは?


お気に入りの理由は?

多治見市で育った私が、母や妹と一緒によく歩いた場所が川沿いでした。今はそこを自分の子どもと歩いています。そんな思い出を世代世代で残せていける場所です。レヴェリエさんも含めて、この古い洋館の雰囲気がとても心が落ち着く感じで好きです。


多治見の好きなところ・いいところ

学ぶ場所が限られないところ。市内にも体育館・競技場・図書館・美術館・学校はもちろんありますが、名古屋方面も通勤・通学可能なところ。

習い事、高校、大学進学を立地で諦めることなく、わりと選ぶことができる場所だと思っています。以前、資金面で遠くの大学に通うのをあきらめてしまった友人(多治見市外在住)がいて資金が必要となる習い事や進学は自分の希望だけで叶えられない事もあるのだと思いました。そういった意味で、名古屋市にも通学圏内である多治見市は選択肢がわりと多いのではと思っています。自身が多治見市を離れず、ずっとここに住んでいるのはこれが理由なのかもと思っています。


多治見がもっとこうなったらいいな

市役所など、多治見市としてのシステムが全体的にもっとデジタル化されて市民皆さんに恩恵があるといいなぁと思うので、市全体無料Wi-Fi♪。IT化に乗り切れない・怖がっている方のサポートが充実しているといいと思います。覚えてしまえば、デジタルは楽しい・便利・面白いと思って頂けると思うので。


※撮影場所協力:レストラン Reverie(レヴェリエ)様

https://tabelog.com/gifu/A2103/A210301/21001102/

 

取材・ライター

:

山下真美子 (POLA 紗ら)
ヘアメイク・コーディネート 鈴木利奈子(POLA THE BEAUTY多治見住吉店

動画編集・コーディーネート

: 富田由芳(ロージーチークス )

ネイルデザイン

: 小林八智子(ネイルサロン トレゾール 
カメラマン : 勝股聡子
Webサイト制作 : 馬場研二